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富士山に登って最高点の剣が峰でご来光を見た。日々の生活で溜まりに溜まったフラストレーションの発散、失っている走ることや山への情熱の復活、等々払拭したいことは山ほどあった。仕事がますます忙しくなる等、日常の変化から走らなくなり、すっかり走れない体型ができあがっていた。結局Transvulcania、野辺山、大雪山、LeadvilleとウルトラのレースでDNF→DNS→DNF→DNSと続き、もはや伊豆トレイルジャーニーが終わってから半年以上もゴールしていない。。先々週はモンブラン、先週は八ヶ岳、そしてこの週末も信越五岳を始めとして皆さんが長距離のレースにチャレンジされている。そしてそのためにしっかりと準備をされている。先週にはオリンピックの東京開催決定を駒沢のPV会場で見ながら、喜ぶ人々を冷めた目で見つめる自分がいた。その夜にはUTMB/TDS/CCC帰りの方々と飲んだが、自分が何もしていない間にあまりにも開いてしまった差に愕然としつつも、何か変えないといけない、そう感じた。そしてサボってた自分を情けないと思いつつ何かふっきるきっかけ、そういうことで何となくの富士行きを考えながら金曜日に仕事から帰宅した。
上りが苦手な自分にとって富士山ほど辛い山はない。夜から上ってご来光を眺めるには4〜5時間で頂上まで行く必要がある。今の状態では須走口から上ると相当な時間がかかるだろうし、距離が長く砂地を上る御殿場口などもっての他である。そういう訳で富士宮口を選択したが、偶然にも他の登山道はすべて通ったことがあり、唯一残っていたのが富士宮口である。厳密には御殿場口で5合 目から頂上まで直に登ったことはないが、大雨で7号目で断念したときと、宝永火口を横切ってから御殿場口の7合目以上を登ってるのでコースとしては通ったといえる。吉田口の馬返しや須山口、精進湖口といった5合目より下のマイナールートも行ったことがあるので、富士山の主要登山道はだいたい行ったことになるだろう。
家を出てから富士宮口5合目駐車場まで2時間くらい。途中のコンビニで水と食料を買い込む。さらに車で富士山に行く際にいつも寄る御殿場ICを下りたところにあるマクドナルドのドライブスルーでビッグマックを買う。23時半に着いたが、荷物をまとめたりトイレ行ったりで本格的に上り始めたのは0時を過ぎてからだった。気温は2,000m以上の高所であるためそこそこ低くはあるものの、思ったほどではない。短パンに半袖Tシャツという格好でスタートする。5合目の中でも最も高い位置からのスタートのためか、早くも高い山特有の息がすぐ上がる感覚がある。夏山シーズンは終わっているが、そこそこの人が上っている。8合目くらいまでは快調に追い越す一方で上っていく。森の中からスタートする須走口と違い、最初から岩地のような所なので足元だけ気を付けながら黙々と上るしかない。夜なので上を見てもどこまで行けばいいとかは分からない。
3,460mの9合目にてしばらく休憩。ビッグマックを食べるなど一息つく。だんだん上りが辛くなっては来ているが高山病の影響は思ったほど出ていない。ここでゴアテックスジャケットを着たが、まだまだ短パンで問題ない。風が穏やかで心地よい夜だ。先行する人のライトの灯りから頂上がどの辺かも見えてきてあと一踏ん張りという感覚がする。そしてようやく頂上に到着。今回、富士宮口からの登頂は初めてであったが、浅間神社奥宮の雰囲気といい、最も趣のある登頂地点である。富士宮口からでは死角になってご来光が拝めないので、スマホを取り出して調べた結果、剣が峰に移動する事にした。富士山頂でも余裕で電波が入るというのは便利である反面、俗世間から切り離された聖域が侵されたようで複雑なところではある。剣が峰頂上に着く頃に周りが明るくなり始めた。ご来光が間もなくという時の空の色の移り変わりはいつ見ても気分が高揚する。その瞬間が近づくにつれて人もまばらだった剣が峰も、いつの間にかご来光待ちの人で埋め尽くされてきた。そして、、、かなり空も明るくなりまだかまだかと待ちわびていた瞬間に雲海の先からご来光が昇って来た。日本最高所から見るご来光はやはり格別である。画的な美しさではない、この場所だからこそ感じれるものがたしかにある。
下りは手早く下山をしたいところだったが、岩が多い登山道は転倒が油断禁物の上、日帰り登山の人が多数登ってくるすれ違いがあるため思ったほどスムーズには下れない。とはいえ、上りと違って体力を使うようなことはないのでひたすら下りるだけである。黄色い葉っぱが斜面に多数生えていて、火山灰の斜面を彩る様子が印象的であった。駿河湾が雲に隠れていたのは残念であったが、こちらを目指しての下山も初めてであったため、須走側とはまた違った景色で新鮮である。それにしても、夏山シーズンは終わったというのに登山客が多いが、安全管理は大丈夫なのだろうか。下山したところで静岡県の関係者からアンケートを受けて、記入したが、登山ガイドラインを知ってるか、登山計画書を出しているかといった内容だった。ガイドラインはどこに掲示されているのか知らないし、登山計画書提出のポストがある訳でもない。その点は突っ込みつつも、山に入る以上は無事に自力で下りてくるのは最低限の責任である。たまたま天気が崩れたとか、運が悪かったとかは言い訳に過ぎず、無事に帰るという結果以外に価値はない。水は1L以上余ったし、使わなかったが防寒着もザックの重しとなっていた。山小屋が開いていないのだから、十分な装備を持っていくのは当然である。駐車場で30分ほど仮眠をしたところで晴天が嘘のように霧が立ちこめ、雨が降り始めていた。晴れている間に下山できたのは幸いだった。駐車場から車を出すと駐車場に入れなかった車が長蛇の列となって路駐をしている。9月も中頃というのにその状況には閉口したが、きっと夜間登山はリスクがあって怖いが昼の日帰りならという人が多いからだろう。
悩んだ時、迷った時には富士に行け。これが今年最初で最後の富士登山になるのだろうか。富士山の登山道も大体制覇したし、ご来光も何度も見た。今後はよりシンプルに、富士山と向き合うことが出来るのではないかと思っている。秋以降の日程も大幅な軌道修正を行い、次は月末の若狭路トレラン(約40km)と来月に伊南川ウルトラ100kmがある。富士登山から一晩明けて4kmほど走ってみたらあまりの体の重さにびっくりした。今のままでは完走を目指すのが精一杯だろう。しかし、始めなければ何も始まらない。今回の富士山はその始動の狼煙である。