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トレイルラン関係を中心に日々の出来事や思ったことを書き連ねて行きます。
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昨日の15時過ぎに羊蹄山の山頂付近で浮き石に足を取られて転落、額のあたりを岩に打ち付けて出血したため救急に通報してヘリで救助された。消防/警察など巻き込んで麓では大騒ぎになっていたようで、不注意から大多数の人に迷惑をかける形となり、大変申し訳ない気持ちで一杯である。山に入ったら自力で無事に山から出てくる事が山に行くからには大事、常に言っている事であるが、それが今回はできなかった。ヘリに吊り上げられながら、自分の不注意でこうした事態を招いたことを情けなく、そして悔しく思うとともに、生きて帰って来れた事には感謝の他ににない。

羊蹄山へは6月に人気の少ない喜茂別からアタックをしているが、その際には時間もなかった上に雪渓とヒグマに阻まれ登頂できなかった。今回はオーソドックスな比羅夫から登ることにした。先週の富士山のデジャブのような、登山口の駐車場に入り切らない車が列をなして路駐している。下ってくる人とのすれ違いも多かった。お鉢まで2時間50分ほどで登れたので下りは2時間あれば十分かなという気がしていた。当初はお鉢を眺めて引き返すつもりだったが、ついでに山頂まで行くことにした。下山開始時刻として設定していた15時を過ぎたので少々焦りはあったが頂上まであと少し。岩場を登っていたら、そんなことをしなくてよい正規のルートがあることに気付きそちらへと岩を下りようとした、その時足元がぐらつきそのまま転落。

よく言われるようなスローモーションがある訳でもなく、顔へと落ちた先の岩が迫って来てそしてガン!!同じようなことは2年前の奥久慈のレース中にもあったが、大きめのサングラスをしていた当時と異なり、今回は小さいメガネだったので衝突の第一撃が顔へともろに来てしまった。痛い!と感じると同時に凄い勢いで血が滴り落ちてくる。どうやらかなり出血があるようだ。多量の血を日常生活で見る事等ないので大いに焦り、狼狽したが、腕に巻いていたバフを押し当てる。奥久慈のときはこうやって止血した。しかし、薄い布の効果等たかが知れているようだ。山岳救助を描いた漫画、「岳」で血まみれの遺体が収容されるシーンが目に浮かびながらも一刻も早い救助が必要と判断したので119へと電話を掛ける。お鉢の稜線上で携帯の電波が届いているのは非常に助かった。消防は通報場所がお鉢ではなくお鉢に通じる登山道上のどこかという認識でいたようで、比羅夫から登りながらお鉢を回って京極からの道も過ぎたところにいたので位置の説明をするのに若干戸惑ったが、第一報は伝えた。麓から救助隊が登るようなことを言われたが、どんなに早くても2時間はかかるだろう。血が止まらず既にTシャツは血まみれになっているので防寒用に持っていた長袖のフリースを出して傷へと押し当てる。生地にボリュームがある分、効果があったようで滴る血は止まった。近くの登山者に救助を求めるよう消防から言われたが、叫べないので呼び止めることもできない。

警察や家族にも連絡した上で、さらに消防とのやり取りが続き、防災ヘリが出動予定であることを知らされる。岩に打ち付けた箇所からの出血が激しいだけで歩行には問題なかったので、ヘリから見えやすいように、転落した岩陰に留まるのをやめてお鉢の稜線上の鞍部の上空が開けた場所へと移動する。半袖短パンだったが、先週の富士山より気温が低く、風も強いので防風パンツを取り出し着用する。そこに母娘の登山者が通りかかり、止血していた長袖のフリースを一旦外して状況を見てもらうとともに、ザックから他の防寒具出して着させてもらった。この母娘とさらにその後でもう一人通りかかった女性の登山者にヘリ到着まで見守っていただいた。元々は山頂を経由してお鉢を回ろうとしていのだろう。夕暮れ近い時間まで引き止めて山頂目前で彼女らも小屋へと引き返すことになってしまった。感謝の言葉はどれほど言っても足りないだろう。血はほぼ止まっているとのことだったので止血をバフに切り替え、止血に使っていた長袖も着用。通報から30分と経ってない15時40分過ぎにヘリが飛んで来たのが見えた。しかし、どうも様子がおかしく必死で合図を送るが救助行動に入る気配がない。消防に電話するとヘリの到着予定は16時であること、色が赤白の2色であることを告げられる。逆光で色が分からなかったがたしかに到着時間は全く整合していない。そして16時になったところで別のヘリが現れた。今度こそが本物の救助ヘリである。合図を送り、ヘリ側も気付いたようだ。

風の通り道となっている鞍部にいたせいか、ヘリは旋回しているもののなかなか近づいて来ない。消防から電話があり、燃料を減らしてから救助行動に入る旨が告げられる。なるほど、捜索が難航する事も想定して燃料を多く積んでいるのか。さらに消防からの連絡あと5分ほどで救助開始すると言われ、ヘリが少し離れた地点でホバリングして2人隊員が降下して来たのが通報から70分後くらいの16時25分頃。風が強い場所だったせいか、動いていなかったせいか寒さに体が震えていた。降下した隊員が岩場を走ってこちらまで向かって来た。ヘリに収容するための装具を取り付けられ、気流の安定している所まで移動。そしてヘリに吊り上げられる。どんどん小さくなる羊蹄山火口、鳥の視点から見る夕日に照らされたお鉢の全貌が実に美しい。ヘリで5分もかかっていないか、倶知安中央公園に運ばれてそこで救急車に引き渡される。そこから倶知安厚生病院へと搬送された。病院では医師の問診で意識障害がないかの確認と首が動かせるか(むち打ちの確認)を受け、CTを撮ったものの特に異常なしということで止血/洗浄以外に大きな処置なく終了。顔を洗ったらまた血が垂れてくる。やはり出血はしぶといようだ。

着替え等一切合切が登山口に置いた車の中なので病院からタクシーを呼んで登山口まで移動して18時45分に車を回収。さて、、、100km以上離れた空港に移動してチェックイン済みの20時過ぎの飛行機に乗るのは到底不可能であるが、どうしたものか。食事でもしようかと思い倶知安の街中を走るが車窓にはこれという店が見当たらず。結局、千歳市内のホテルを予約して100kmを車で移動。翌朝の飛行機を予約し、どこか食事できないかと周辺をうろつくがラーメン屋くらいしか見あたらなかった。傷には良くないだろう。昭和な感じの店が立ち並び、場末感の漂うどこか寂しげな千歳の町は12月の東京のような寒さだった。恐らく気温は10℃以下と思われる。この寒さで山頂にいたらどうなっていたことか。一晩を明けて東京に帰着したのが23日の昼。どっと疲れた。これから医者に行って詳細に診てもらったり、仕事の調整などやるべきことは山積みであるが、ひとまずは家に帰って来れてよかった。

当日の診断から考えるとヘリに捜索隊、救急車に警察、と大々的な騒ぎにすることもなく、自分で止血をすれば自力で下山できたかもしれない。一方で足元が覚束ず注意力散漫になっていたであろうことは確実なので樹林に覆われた登山道上で更なる転倒を引き起こしていたらより捜索は困難を極める結果になっただろう。命を最優先に、との思いで救助を求めた判断自体は間違っているとは思わない。しかし、事故を起こした不注意に始まる反省点は挙げればきりがない。助かったという幸運を受け止めて、また反省をしっかりとしていく必要がある。奇しくも先週の台風の被害を受けてエントリーしていた来週末予定の若狭路トレイルランの中止が決まり、現在エントリー中のトレイルレースはない。完治しても山行きは当面控える予定である。先週の富士山行きで再始動と高らかに謳ったがわずか一週で再休止となることになった。東京マラソンの抽選結果が3日後に明かされることになるだろうが、しばらくはトレイルは止めて基礎体力の向上に専念するか。

なお、下記の方のブログに捜索隊が山を登ろうとしていたことや救助活動に入ろうとしていたヘリについて記載されている。
後方羊蹄山(1898m)+レスキュー_130922


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無題
とにかく生きて帰ってよかった。反省はいろいろとあるだろうけれど、生きてることを喜んでください。

余談だけれど、あのキリアン・ジョルネがモンブラン往復ランで道に迷って天候が悪化し、ヘリ要請をしていました。
http://iancorless.org/2013/09/08/kilian-jornet-emelie-forsberg-rescued-from-mont-blanc/

私も気をつけます。
しらちゃん URL 2013/10/10(Thu)22:39:38 編集
Re:無題
しらちゃん様

生きててよかったです。
少なくとも今後山に行くときの装備と保険については見直します。

>余談だけれど、あのキリアン・ジョルネがモンブラン往復ランで道に迷って天候が悪化し、ヘリ要請をしていました。
>http://iancorless.org/2013/09/08/kilian-jornet-emelie-forsberg-rescued-from-mont-blanc/
らしいですね。この人たちがどういう装備持ってたのか知らないですが、実力の過信だとしたらとんでもない話です。
【2013/10/28 01:11】
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