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トレイルラン関係を中心に日々の出来事や思ったことを書き連ねて行きます。
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つい先日雲取山で道に迷ったトレイルランナーが滑落して亡くなった。どうもトレラン仲間の知人であったようだ。何とも残念なニュースである。あまり故人について詮索するのはよくないが、ここ2年くらいレースにもかなり出ていて今月のキタタンや事故の2日前には富士登山競走に出走していたようだ。決してトレイル「レース」の経験は少なくないようだが果たしてそこそこ高い山を走るトレイルランニングの経験がどの程度なのかは知りようもない。圧倒的に他の山よりも道迷いのリスクは少ない場所でこのような事故が起きた原因に慢心や油断があったかも分からない。また故人は建築士ということで職業上は空間把握能力が求められるので道迷いをする可能性は他の人よりも低いと思う。すでに起きてしまったことについて批評するのは後だしじゃんけんのようでもあるが、このような事故の原因を把握すること、そして道迷いは常に起こりうるということを認識しておくことは非常に重要である。

雲取山には鴨沢から往復で1度しか行ったことがないが、メジャーなコースは人が多数通るので踏み跡もはっきりしていてまず道迷いはあり得ないだろう。どのコースで迷ったのかは知りようもないが、たしかにトレランを始めてすぐの頃に同じ山域の鷹ノ巣山に行ったときに遭難の不安を感じたことはある。熱海集落の温泉神社から倉戸山を経由して鷹ノ巣に登るルートだったが、落ち葉が積もっていてトレイルは判別不能でなおかつ急斜面ということで下山時なら間違いなく迷っていただろう。このときは下山は石尾根から奥多摩駅だったので特に問題はなかったが。また、倉戸山にはクマが住み着いており、かの大クライマー山野井氏が以前クマに襲われた場所でもあるが当時そんなことも知らずにクマ注意の看板を何も思わず鈴も持ってなかった。

高尾あたりの緊張感ゼロでもまず事故が起きないような場所とは違い、2000メートル級の山であることを考えればそれなりの準備と装備が必要である。コースについて熟知しているのでなければ防寒具と地図・コンパス、ライト、サバイバルブランケット、救急用品ぐらいは必須である。また、道迷いが大きなリスクとなり得るので地図とコンパスは持っているだけでなく適切に使って自分の現在地を常に把握しなければならない。特に、自分の現在地が正しいコース上にいることは120%の自信を持っておく必要があると思う。100%の自信が持てなければその場で地図を確認すべきだし、自信が80%以下になればすぐに引き返すくらいの心つもりでいるべきと思う。

一般的に2000メートル級の山からの下山は、当然のことながら道迷いのリスクが大きい。下りでは誤った尾根に迷い込めば徐々に進路から外れあさっての方向へといつのまにか進んで気がつけば崖ということ状況が往々にしてある。とにかく道迷いの不安があるときは下らずに上るべきというのは山の基本中の基本である。バスの時刻など下山を焦ってたなどの理由があるのかは分からないが、迷っているときに下るというのは最低なことである。見晴らしのいい尾根まで上って位置確認をするのが常識である。今回の事故に限らず、登山者が下山時によく遭難するのは位置確認をろくにせず下ったあげくに体力が尽きて上り返すこともできなくなるというパターンが多い。それでも後を絶たないのは知識の欠如と言わざるを得ない。避けられる事故と避けられない事故があるならば間違いなくこれは前者に該当するだろう。避けられる事故は、避けないといけない。

ゴールデンウィークに丹沢の蛭が岳付近で大会でも上位に入るトレイルランナーが亡くなっている。原因は強風でヤセ尾根から吹き飛ばされたこと。恐らく初めての体験になすすべもなく事故に至ってしまったのだろう。狭い道で強い風がキケンなのは当たり前なので強風が尾根に吹いていれば速やかに下山するか山小屋に避難するべきである。風と雷は遮蔽物のない稜線上では大変危険である。この件の場合も詳しくは知る由もないが、悪天候時のエスケープルートなどコース設定に無理があったのかと思う。キタタン等のレース仕掛人の野崎氏も述べているが山地図で線を引くだけのようなコースを設定してはいけない(氏のレースがアップダウンがあろうとも引かれた線を基にした激しい設定になっているのはいかがと思うが)。熟知している山以外ではヤセ尾根/薮などトレイルの状況も分からないのでくれぐれも無理のないコースである必要がある。

トレラン人口が増えるにつれ死亡事故も残念ではあるが確実に増えると思う。1000メートル以下の山と1500〜2000メートルの山、2500メートル以上の山で考慮すべきリスクが異なるにも関わらず走ったら「トレイルランニング」として一括りになっていることも問題であると思う。そして何よりもトレラン関連の本・雑誌・ホームページには安全管理に関わる内容が少ない。書いてあるのは杓子定規的なことでリアリティに欠ける。当然のことながらトレイルランニングの楽しみを紹介をするのがメディアの役割なので危険性ばかり列挙しては新しく始めようと人が躊躇してしまう原因となるが、安全に関する内容は本当は一番重要なところである。起きてしまった事故を他人事と思って済ませてはいけない。山を走る限り、次に事故に遭うのは自分かもしれない。

ネガティブなことばかり書いても仕方ないので、最後に、危険があるのになぜ山を走るか?それは楽しいから、爽快だから、気持ちいいから、絶景に出会えるから、山でしか見れない動植物を見れるから、、、理由は有り余るほどあると思う。
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無題
11月23日高尾山口から陣馬山まで5回目くらいの往復のトレイルランニングを試みた。天気に恵まれ小仏城山を過ぎた下りで、事故をおこした。足を引っかけて立木に激突。サングラスの右柄が折れ、右前頭部が3センチくらい切れ出血が止まらない。幸いウウエットテッシュと大判の傷バン、バンダナを持っていたので自分で処置することができた。出血部をウエットテッシュで何回も鮮血・汚れを拭き、傷バンを貼りすぐ鮮血で染まり、更にその上からもう一枚貼り、バンダナで頭をきつめにしばった。つくづく応急処置具を携行して良かったと思いました。
NONAME 2013/11/25(Mon)17:16:57 編集
Re:無題
コメントありがとうございます。ご無事でよかったです。慣れてるルートとはいえ何があるか分からないですね。

>つくづく応急処置具を携行して良かったと思いました。
しかし、いざということが起きてようやく応急処置具を携行していることのありがたみを思い知りますね。
返信遅くなり申し訳ございませんm(__)m
【2014/01/06 01:10】
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