トレイルラン関係を中心に日々の出来事や思ったことを書き連ねて行きます。
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脚が痛くなって歩きが多くなりながらも、下りをかっ飛ばして40マイルのTwin Lakesのエイドについたのは関門30分前。エイドステーションに入るとすぐにスタッフが水が必要か声を掛けてくる。ハイドレーションへの補充を頼んで、自分でハイドレーションパックの口を空けて水が注ぎ込めるようにしていると、何で食事取らないの?!と怒られる。つまり、この作業は私がやるからあなたは食べ物の補給をしたり、他のことをやりなさい、と言っているのだ。日本とのあまりの違いに驚きつつも、ザックごと預け、ジェルやスイカ、ターキーサンドイッチ等を口に入れる。この地点のドロップバッグにはストックを預けてあった。これでまた元気になればコース最高点を軽く越えられる、1000mの上りなんて怖くないと思っていた。
エイドを出てしばらくは草原を進み、Twin Lakesの湖畔へと向けてどんどん下って行く。そして、コース最低点(9200ft)Twin Lakesに注ぎ込む河川の渡渉がある。膝まで浸かるほどの深さだが、深みの部分は腰か胸まで浸かりそうなくらいである。しかも、ロッキー山脈の雪解け水(既に残雪は見えないが)が流れ込むせいなのか、かなり冷たい。ほどなくしてAnton Krupickaがやって来る。今回も好調、きっと優勝は彼なのだろう。続いてサロモンのフランス人選手がペーサーのAnna Frostを引き連れやって来る。その差は5分もあるかどうか。エイドを出てすぐにコース最高点への上りがあると思っていたが、意外と上りに入るまでの部分に距離があった。
上りが始まるとストックを使い、確実に上って行く。しかし、どうにもペースが遅いのかストックなしの人にも抜かれて行く。女性のランナーが倒れていた。顔が真っ白で血の気がない。選手を含め、既に6人程度の人が介抱していたので、リタイアでいいから救助を手伝うべきか後ろ髪が引かれる思いはあったがそのまま進む。針葉樹林の森は上っても頂上が全く見えない。そうこうしている間にどんどんペースが落ちてどんどん後続に抜かれる。折り返して戻ってくるランナーの数もだんだん増えてくる。下りを颯爽と駆け下りるランナーからエイドはもうすぐだよ、ガンバレと声を掛けられるがなかなか辿り着かない。樹林帯が終わり、2つのピークが上に見える所まで来てようやくエイド。ラーメンを食べ、ジェルを補給し、進む。関門が怪しくなってきたが下りをかっ飛ばして何とか間に合わせたいところ。
エイドはまだ最高点ではなく、頭上に見える2つのピークの狭間になっている部分がHope Passである。頂上に近づくと猛烈な風が吹いていて、たちまち体温が奪われるのでたまらずレインウェアを着る。そして雨まで降ってきた。3840mの峠の気象は凄まじい。頂上に着くと今度は800mの下りが始まる。ガレているところもある結構な下り、しかも厄介な事に上ってくるランナーが多数いて、すれ違いも一苦労。ようやく下り切ったところで何名かの後続ランナーが同じく関門を意識しているためか、血相を変えて走ってくる。下りが終わればすぐにエイドと思っていたが、ここからがエイドまでだらだらと上り基調のシングルトラックで進んでも一向にエイドに着く気配がしない。もうタイムアップ、と思った所から脚が止まり始める。中には間に合うかどうかなんていいんだ、自分のベストを見せてやる!とへたばりながらも懸命に走って行くランナーもいた。関門の時間を過ぎても折り返しのランナーがまだまだ来るということはエイドが遠い証拠。下りで抜いたランナーにもまた抜かれ、完全にバテていた。折り返しのランナーが見えなくなると、続いてレーサーのいないペーサーが何人かやってくる。関門時刻を過ぎたため、自分のパートナーを探しに逆走しているのだ。
ようやくエイドが眼下の谷間に見えて来た。目算であと1キロくらいはあるだろうか、トレイルが谷間へと向かって下り始めたところで、スイーパーが反対側から歩いてきた。そしてクルーがいるか尋ねられ、いないと答えると、これからランナーを回収しながら別の駐車場に向かうからついて来いという。何と、動かない脚で1時間近く進んできた道をまた戻れというのだ。エイドは既に撤収、そうでないと移動手段がないよと言われる。途中で同様にクルーがいないランナー2人を回収して、来た道を戻る。他の人よりもだいぶペースが遅いため、明らかにスイーパーは苛立っていたが、仕方あるまい。しかも途中で日没でライト点灯、こんな形で再びライトを使う事になるとは。朝2時起床のせいか、頭がぼーっとして幻覚が見え始める。ライトによる視界では、モノの形がはっきりと見えないため、頭が知っている形に置き換えようとしている。もし、関門に間に合っていてHope Passに上り返していたら、どんな幻覚に襲われるのだろう。夜が明けるまでは長い。
スイーパーから指示された駐車場に辿り着くと、救護のトラックが止まっており、それでTwin Lakesまで連れて行くという。車はLeadvilleの町にあるので、それではもちろん困る。すると、関門にかかった人でクルーのいない人を乗せながら行くのでLeadvilleには朝になってしまうという。とりあえずはそのトラックに乗り、Twin Lakesのエイドに戻る事になる。Twin Lakesでも関門をやや過ぎた所、町の人やサポートクルーが拍手で向かえる中、二度目のHope Passからランナーが戻ってくるが、エイドは既に閉鎖。ここは折り返して戻ってくると約100キロ地点、このレースは、本当はここから始まるのかもしれない。運良く、同様にLeadvilleへ戻る交通手段を探している人がいて、その人と一緒にエイドスタッフをしていた方の車で戻る。この方は過去にLeadvilleも完走しているし、Hardrockも完走しているという。こういう人が普通にエイドスタッフをやっている、これがアメリカのランニングカルチャーの奥深さなのだろうか。(③へつづく)
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