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トレイルラン関係を中心に日々の出来事や思ったことを書き連ねて行きます。
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思いもかけず一週間前にペーサーが負傷し一人で走る事になった信越五岳トレイルランニングレース2011、評判に違わずすばらしい大会であった。昨年思い立って知り合いを応援すべく車を長野までかっ飛ばしてこの大会を見て必ず走らなくてはと決意をした。終盤はスタミナ切れで辛かったがなんとか走り終えてほっとしている。

日常を離れて過ごすぜいたくな3連休、前夜祭から閉会式までがパッケージとしてデザインされたすばらしい大会である。前後泊が必須であることには色々な意見があるが、参加者、そしてボランティアスタッフがこの3日間という長い時間を共有するからこその信越五岳であると思う。まだまだこの大会にも改善すべき点はあるが、最高のコースと日本のレースにしては充実したエイド、日本で最高のトレイルランニングレースであることに間違いない。そしてこの大会はすべての人に対して開かれている。こういう大会に参加して完走できたことに率直に感謝である。

以下、備忘録として長文で記録しておく。

□前日
家を早く出て当初予定より1時間早い新幹線に乗り長野駅には9時前に到着。11時の送迎バスの時間までに善光寺にお参り。長野とい えば善光寺と東山魁夷くらいしか予備知識を持っていないし、実際見るべきものとしてはその2点だろう。善光寺は小学生のとき以来17年ぶりの訪問だったが、もはやすっかり忘れていた。本堂下のお戒壇巡りでは完全な暗闇を体験する事ができ思いがけずこれから走るナイトトレイルの暗さに対する備えとなった。 圧倒的に観光客が多かったがその中にトレランシューズや明らかにトレラン風のウェアを着た人の姿もちらほらしていた。長野駅に戻るときに参道で食べたおやきがおいしかった。

11時ジャストに長野駅に戻り送迎バスで斑尾のスタート会場へ。バスを下りてまず感じたのは寒さである。長野駅は東京 と比べて極端に寒い事はなかったが、斑尾は長袖シャツでも寒く、都内では晩秋くらいの装備が必要と感じるくらいの気温である。受付を済ませ会場の販売コー ナーを見ていると今回の招待ランナーJenn Sheltonをいきなり見かける。今回のゲストはジェンという噂は耳にしていたが公式サイトでの告知もないし、そもそも福島原発事故の影響等もあり本当 に来るのかな、という気がしていた。Born to Runが日本では流行っていて彼女も登場人物の一人としてすごく有名になっていることを伝えるとうれしそうにしていた。あどけない表情の残る少女といった 容姿とは裏腹に大変な実力の持ち主である。

宿泊先の斑尾高原ホテルにチェックインする。和室と洋室がセットになった一人で泊まるには贅沢な部屋。しかし超長距離レースに向けて一人になれるというのは重要であると思う。ホテルの下のレストランでこの日唯一のメニュー、カレーで腹ごしらえをしてトレイルに出かける。

16 時半からの競技説明に間に合うように2時間半ほどかけて斑尾のトレイルを散歩。斑尾トレイルレースのコースを逆走する形で希望湖へと向かい、沼ノ沢湿原を 通って会場のレストランハイジへ戻る8キロくらいのコース。気持ちいいトレイルが続くためついつい走りたくなるが翌日のレースのことを考えとにかくゆっく り歩くことに徹した。途中では数名のしっかりと走るトレイルランナーとすれ違ったが。それにしても森と湖のトレイルが続く斑尾高原はすばらしい。関東の森とは違った神秘的な美しさがある。

沼ノ沢湿原からの上りで沢から溢れた水の影響でトレイルが川となっていた。これを下る斑尾のレースは レースの日もこんな感じなら大変だろうと他人事のように思ったが実は信越五岳のコースにもなっている区間であった。勘違いしていたこともあり、滑りやすい 部分もあるが前半はランシューで走るかと思う。この区間は当日のレースで2Aから3Aに向かう途中のハイライト、袴岳の手前に当たるが前日にぶらぶらと歩 いてトレイルの様子を見ておいたのはよかったと思う。

レストランハイジに着くまでの2時間以上は行動したが給水ゼロという状況だったので レース当日も水は少なくていいだろうという予測はついた。それよりも日中にも関わらずかなり肌寒かったのがウェアリングをする上で問題だろう思い会場でメ リノウールのアームウォーマーを購入。ナイロン製のアームカバーは持っていたが、防寒にはしっかりとした素材の方がいいだろうと考えたためである。

ウェルカムパーティではよくご一緒するメンバーを初め、さまざまなイベントで見知った顔がたくさんいて盛り上がっている。1時間強くらいしかないので色々な人と話すにはやや短いのは残念である。酒を大量に流し込んだ神流とは違ってさすがに110キロを控えているのでビール1缶と日本酒一杯にアルコールは抑えておく。それよりも地元特産のリンゴジュースがおいしかった。散会が19時と早く、5時半のスタートに備え早々にホテルに戻る。それにしても前日がシングルルームなのはよかった。これまでは相部屋の方が他のランナーとコミュニケーションが取れていいと思っていたが。。。

□スタート〜3A
4 時前に起床して荷物の最終パッキングをしてホテルを4時半過ぎに出る。装備は以前の記事で書いたものからほぼ変わらず、前日買ったアームウォーマーの着用と、当日早朝に降雨があったこともありランシューを会場へ向かう中であきらめトレイルシューズで最初から行くことにした。寒さは気になるが5Aまではノースリーブとウエストベルトで頑張る。会場で急いで朝食を食べたらもうスタート30分前を過ぎている。それからトイレにも行ったが、スキー場のレストランということもあり十分な数の便器があり、列が長くてもそれほど待つ事はなかった。先日スイスで出場した Mountainmanのようにトイレ遅刻ということは避けられた。

スタートは後方からゆっくりと出る。林道を通ってゲレンデ上の応援ポイントを通過し、 石川さんとハイタッチをしてかr少し上ってからリフト下をくぐってトレイルへ入る3〜4キロ地点でトラブルが。前方から5〜6人のランナーは血相を変えて逆走してくる。「スズメバチだ! (注:実際はアシナガバチだった?らしい)」と叫びながら。こりゃたまらんと思いつつ、だからといって立ち止まっても仕方ないのでそっと近づいて様子を見 ようと戻ってきた人たちの前に出て2、3人と進む。既にハチを見ている他の2人がすごいたくさんいると言うが、ハチの姿には気付かなかった。そして1人が たまらず走り出す。1人でもハチを刺激すればやられる可能性が高いのでそれに続きダッシュ。確かに凄い羽音は聞こえるが振り返ったらアウトだと思ったので ひたすら全力で走る。下りでそのまま突っ込んで激しくこけたがハチの追撃は何とかかわすことができた。前後にいた大半の人は刺されてしまっていたが。

しばらくは黙々と進み、林道を下り右に曲がってトレイルに入るところで前を行く3人がいきなりミスコース。かなり目立つ標識があったにも関わらず。自信満々 に違う方向へ突っ込んで行く様子にこちらも驚いたが、指摘して正しい方向へと進む。速い知り合いの背中が見えてきて、1Aまでまだ5kmくらいある所で速 い知り合いに追いつく。ペースが速すぎたか。とはいえ1Aは快調に通過。斑尾のトレイルは気持ちよくて本当に走りやすい。

ここからは斑尾山山頂を登って下りる区間であるが、ここまでの勢いで特に問題なくクリアして2Aに到着。2Aの先で前日歩いたトレイルが川となっている区間に出る。ス キー場状態で難儀したが一部だけなので滑らないように確実に通過。そして袴岳を上りに入る。前半はこれが終われば大きな上りはない。袴岳からの下り、がん がん抜かれるがマイペースで進む。下りを快調に飛ばすのが大好きなので抑えながら走り人にどんどん抜かれるのは気もちいいものではないが、ここから3Aま での5kmを頑張ったが故にたとえ10分〜15分早く走れたとしても3Aからゴールで何時間も遅くなってはあまりにも愚かである。ペースを維持して3Aに 到着。

3A〜5A
ここからは単調ながらずっと上りが続くしここまでのエイドを流し気味だったこともありしっかりと3Aで休憩をす る。冷やしトマトを食べるが、寒いくらいの天候なのでおいしかったがそれほど感銘は受けず。3Aを出ると関川沿いの緩く登る道。途中で宴会隊なる人たちの 私設エイドがあった。昨年は灼熱の天気に多くのランナーが苦しめられたポイントであるが、今年は日が差した瞬間を除いては走っていても涼しい天気だったの 快適に通過できた。関川を離れ苗名滝への山道に入ると最初は上りだがすぐに上りきり、そこからは快適な気持ちいいトレイルが4Aまで続く。鬱陶しい区間の 後に気持ちいいトレイルを用意されているのはご褒美のようですばらしい。4Aを出ると満開のコスモス畑を抜ける。110キロと長いだけあってコースがバラ エティに富んでいる。ここからダラダラと蛇行しながら上るイヤな林道だが走りと歩きを織り交ぜて心拍が一定になるようにしながら上って行く。ようやく抜け ると激下り、そして水力発電の施設横を激上り。つづら折れトレイルよりも施設のメンテ用のまっすぐ階段を上りたい誘惑に駆られる場所でもある。クロカンが 行われるらしい妙高高原セラピーロードを抜けて笹が峰牧場を横切り、キャンプ場まで出た所を下るとようやく5Aの乙見湖に到着した。3A〜5Aをダラダラ したこともあり、5A到着がスタートから10時間30分弱の16時前。もう少し早く着きたかったところがあるが、遅れは後半巻き返す。日付が変わる前の18時間半でゴールすることは決して不可能な目標ではない、このときはそう思っていた。

5A〜8A
5A 到着後すぐに夜仕様のウェアに着替え。2度の転倒でウェアがドロドロになっていたので全着替えに迷いはなかった。ロングスリーブのSkinsと半袖Tシャ ツ、さらに前半使ったアームウォーマーを引き続き使う。荷物もウエストベルトからキリアンザックことSalomon Advanced Skinに交換。TEAM IBUKIの方からつけ麺を頂いて出発。明るいうちにどこまで行けるかが勝負である。以前試走会イベントに参加したときにメンテナンスしたトレイルを経て 黒姫のピークへとドロドロの中を上る。上ってる最中に軽くエネルギー切れになり体が動かなくなったが、ジェルを摂取したら復活。ピークを過ぎた所で完全に 暗くなりライトを点灯、想像以上に暗かったのでGentos 500を投入。この部分と瑪瑙山の下りなど、テクニカルな部分こそ明るいライトが効果を発揮する。ライトの明るさを活用してどんどん前のランナーを抜きな がら突っ走る。

明るい時間に走った試走会イベントの時の記憶とは異なったが、6Aには快調になって到着。エイドではコーラとムサシ、フ ルーツをちょこちょこ食べるがジェル類の補給は全くせずに進む。6A〜7Aはほぼフラットなのでなるべく走る。戸隠奥社の鳥居を通過し随神門のところに差 し掛かるとボランティアの女性が名前を呼んで応援してくれた。以前ここで名前を呼ばれたことがあるという人から聞いてはいたが本当だったとは。7A〜8A も引き続き緩いアップダウンの中を快調に進み、かなり前に抜かれて差が開いていたランナーにもどんどん追いつき進んでいく。しかしながら、ロードに出て 8Aまで残り1キロくらいというところで体が重くなりだしていた。時間が90キロの標識のあたり15時間半になっていたのでさすがに18時間半は無理だろ うと思ったが、であるなら石川さんにアート本店で宣言した19時間切りがノルマである。

8A〜ゴール
8A手前で体が急に重くなっ た感じはあったが特に気にせずにいた。5Aでどっかで抜くと豪語しておいた先攻している知り合いとの差が10分程度であると教えられたので俄然やる気が出 てくる。16時間弱だったので、残り18キロ、瑪瑙山を越えるとはいえ林道が7キロもあるためしっかり走れば3時間以内にゴールも十分可能であるし、そう 出来ると信じていた。エイドを出発するまでは。。。しかし、8A手前での体の重さがエイドを出た所でより深刻に。。。エイドではソバに加えシャリやバナナ を食べて十分補給したつもりだったがエネルギー切れのせいか体が全く動かなくなる。これからが最後の山場の瑪瑙山の上りだというのに。5A~6Aのピーク 地点以降は明るいライトで前方のランナーを煽りながらがんがん抜いてきたのに急にペースがショボショボになる。先ほど軽く抜いてきたランナーに軒並み抜き 返される。ジェルを慌てて摂取し、グミも食べるがすぐには回復しない。そして「おっ先〜♪」なんて元気な知り合いに声を掛けられて抜かされる。ヨレヨレで はあるがとにかく脚を止めずに上ることだけを意識した。

下りに入っても足場がぬかるんで滑りやすいこともあってペースを上げられない。さらに注意力が散漫となっていることもあり滑る岩に手こずり、スタッフがいる急な下りで尻餅をつく。このスタッフは今回大会に申し込み損ねた知り合いだっ た。。。一時よりは回復したとはいえ一向にペースが上がらない中で20時間も無理なのではという悲観的な気持ちが沸いてくる。とにかく昨年訪れた石川さん の試走イベントのときと違ってペースが遅いし夜という事もありすぐに通過できると思っていたコースがただただ長い。飯綱登山道への上り返しが終わる所で前 方から応援する声が。分岐点のスタッフが積極的に前に出る応援をしているのかと思ったら何と石川弘樹さんだった。大丈夫、もう完走は間違いないから、と石川さんが応援してくれる。しかし、2週前にアートスポーツで石川さんにお会いしたときに19時間以内でゴールしますからと豪語していたのでまだゴールまで 距離があるところにいることが悔しくて悲しくて涙が出そうになる。中位にいたせいか中盤までで石川さんには会わなかったのでもうゴールまで出会わないと 思ってた。少しは元気が出てラストの林道まで下り一辺倒のトレイルを下る。

林道に出たところの給水エイドでスープを飲み、ゴールへと最後 の歩を進める。ここまででスタートからの経過時間は19時間。20時間まで残り1時間で7.2km、キロ8分でいけば間に合う計算となる。当然20時間くらいは切ろうという気で走りだすが、10分ほどで脚が止まる。真っ暗闇で前後に走者がいない夜の林道はあまりにも単調で眠気を抑える事ができない。ライトが明るいことは絶対的に有利と思っていたが、単調な林道でなまじ明るいがためにライトの照らす範囲に幻覚を見せる。眠いので休みたいと思ったら林の木立の中にペンション風の洋館が見え、エントランスの階段は座って休めそうだが近づくと当然何もない。。。眠いので歩きながら眠りそうになる。前日は善光寺に行くために朝早く起きたし移動の新幹線が座れず眠れなかった。当日は3時半起きのためそんなに睡眠が取れていない。そして時刻は1時過ぎ。そのしわ寄せが一気にきてしまったようだ。意識が飛びそうな中で意地でも止まらないように歩いて小走りしてを続けるとようやくあと3キロの看板に辿り着く。走ってもあと 20分も我慢すればゴールの舞台にいれる、そう思いながらようやく眠気も覚めてきてまた走り出す。そしてようやくスタッフがいるポイントに着きゴールが近い事を悟る。スキー場の灯りが見えてスピードアップ、そしてゴールへと誘導する滑走路の灯りのようなLEDの光の列が。着いた。。。とうとうゴールだ。 8Aに着いたときは余裕だと思ったのにスタミナが完全に切れて4時間半近くかかりようやくゴールの舞台に立つ。20時間20分、長い長い旅も終わってし まった。何とかゴールに辿り着きほっとした。他のランナーが苦しみながらもゴールする姿には感動するが、自分のゴールにはなぜか感動はなかった。無事に終えた事に対する安堵だけ。調子に乗って補給をおろそかにしてエネルギー切れという軽卒なミスに終盤で泣いたことも悔しい。それでも日本で最高の大会は終える事ができた。信越の先へ。。。扉は開かれた
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